アイスクリーム男子の作り方【アイスクリームの美味しい食し方番外編】
爽やかな風が鼻先をくすぐる。

スローモーションで、
彼女の髪の毛が揺れた。

俺、ちょっと思ってたんだ。
いや、無意識に頭の何処かで
ほんの少しだけ。

一度しか会ったことない上に、
あんまりにも長くこんな近くで
見ることもなかった。

チカに好きになってもらう以前に、
俺がちゃんとチカを
特別に思えるかと。



笑える。





なんだ、これ。

血管が沸騰してるみたいに、
毛穴から、熱気が噴き上がる。

斜め後ろからだって、
目が離せない。


さらさらの長い髪、
細い指先、
白い肌。

彼女は、
ゆっくりと瞼を閉じて、開いた。
長いまつげがそれに伴い
ゆっくり動いた。

その瞬間、
やはり俺は男で、
受験会場ではあってはならない
身体の反応が起こり、
必死でそれを抑えた。

誘惑されているのではないだろか。


そう思うほど、
彼女を見つめていると、
気がおかしくなりそうだった。


本当にみんなが言うよう
俺は気持ちが悪い男だ。


だけど、チカだけだ。

この子だけが、
俺の特別だ。

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