アイスクリーム男子の作り方【アイスクリームの美味しい食し方番外編】
「お、おぅ、お、お、
お母さん?!」

チカはひっくり返ったまま
叫んだ。

あんまりかわいそうなので、
素早く起こしてあげたが、
チカは不機嫌そうだった。

3人ともリビングに移動した。

「えーっと。お久しぶりです。
お母さん…ですよね。」

俺はぎこちなく言った。

「母親の顔も覚えてないの?」

母は、栗色の髪をかきあげた。
姉にそっくりだ。

まともに話すのは、
7.8年ぶりだ。

覚えてろと言うほうが酷だが、
案外覚えているものだ。

この人の威圧的なオーラや、
わがままな態度には、
とても、懐かしい。

「何よ。大人になっちゃって。」

母は、俺を見て悔しそうに
言葉を吐いた。

「もう、明日で18歳だよ。」

俺は淹れた珈琲を
母の前に置いた。

「あら、やだ1日間違えちゃった。」
と母は、言った。

会ったら言いたいことの一つでも?

いや、特にないな。

俺は、チカの肩を抱き、
母親に言った。
「で、彼女が木暮チカさん。

彼女の学業に負担さえなければ、
卒業後に入籍したいと思っています。」

「は、は、はい!
この家でお世話になっている
小暮チカです!

今後ともよろしくお願いします!」

チカは完全に母の威圧感に
気圧されていた。

「哲さんから聞いてるわ。
子ども作るのだけは、
もうちょっと待ちなさい。」

哲(あきら)は、父の名だ。

「僕らが出来たこと失敗したみたいに
言わないでくださいよ。」

俺は笑って言った。

「ふん。何よ。
その緩み切った顔。
嫌になっちゃうくらい
大人になっちゃったわね。

私のこと恨んでないの?」

母は、拗ねたように言った。
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