意地悪なきみの隣。



『なんつーかさ、アイツ、不器用なんだって』



いつかの高橋くんの言葉を思い出す。


うん、中島くんは…やまとくんは不器用だね。



「やっぱバカだよな。あんだけヒント出したのに気づかねーって、笑えるよ」



「なっ………!もう!」



いつの間にか涙は引いていて、いつも通りの会話。


でも、ほんとに気付かなかった自分はすごくバカだと思う。



「……テスト」



「ん?」



「テスト持ってこいよ、明日。花マルしてやるから」



覚えててくれたんだ。


いい点数を取ったら花マルをくれるっていう約束。

なくなっちゃったのかと思ってた。

もう12月考査が近づいてきてるけど。

そんなの関係ないや。



「うん。持ってくる!」



うん、と返事をすると知らない間に私の家の前に着いていた。



「じゃーな、また明日」



「バイバイ!やまとくんっ!」



ふっと笑ってひらひらと手を振り、やまとくんは帰って行った。


きみが尾原大和くんだと気付いて、


笑ってくれて。


会いたいと思ってたから嬉しくて。


中島くんからの不思議な言葉は全部、



やまとくんからの素敵なヒントでした。






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