俺がアイツに惚れた理由




蒼い空、白い雲。



見飽きた町並み。


あーもう、めんどくさくて…、そんな情景さえいいたくも表現もしたくねぇ。


あ。いたいた、



「おはよう、恭ちゃん。」


親しげに話しかけてきたのは近所の叔母さん。
毎日、挨拶してくれるんだが、

なんか…だりぃ。


「……おはようございます。」


と、挨拶してスタスタ歩き出す。



が、いつものように「待って、恭ちゃん。」と呼び止める。



なんなんだよ、しかも「恭ちゃん」とか親しげに。

俺の名前は恭介だっつーの。





「なんスカ?」と、表情で迷惑そうなアピールをした。




「恭ちゃん、学校帰りに家によって来てくれないかしら?」



へ?



「恭ちゃんの家、母子家庭で大変でしょう?お母さんもお疲れだと思うし、今日は私の家で食べない?」



いやいや、本当に親しくないし。
てゆか、なんで母子家庭知ってんの?



「いや、いいです。」


「遠慮しないでいいのよ?うちの娘もきっと喜ぶわ。」



娘?
あー、俺と同級生の…乃愛だっけ?名前。


「いや、本当にいいです。」

「そう言わずに、ね?お母さんのことを…」

「いいってんだろ。」

つい暴言口調で言ってしまった。
まぁこうしなければ諦めないだろう。



「…そう」

しょんなり、とするおばさんに一礼して

「じゃあ、行ってきます。」


と、去った。



「気をつけてね…。」

と、小さい声を背中に感じながら。






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