恋のはじまり
どうしてここに?
「かかか、課長っ!?な、何で?!」

どうしてこんな事になってるんだろう?

目が覚めたら上司と同じベットにいて、しかも抱きしめられてる!このあり得ない状況に心臓はバクバク早鐘を打っている。

「…どうしてって、覚えてないの?」

(ち、近い!!!)
課長に後ろから抱き締められてるいる形になっているので、振り返って話しかけると課長の顔はすぐそこにある。お互いの顔と顔がくっつく程の至近距離で問いかけてくる課長に私は更にパニックになる。しかし、そんな私をよそに課長はいたって普通な様子。

「お、おお、おぼえて、ないです。」

そう。本当に、なんでこの状況になってるのかさっぱりわからない。


「……うーん、そうか。」

そう課長が呟くと、

「っっえっ?!」

腰に回されていた課長の手にぎゅっと力が込められた。

さっきよりも強く抱き締められお互いの体が一層密にくっついている。トクトクと心臓の音か聞こえる程の距離。温かな体温を感じる。
少しくるしいけど、でも心地いいと思ってしまう。



でも、それは一瞬。

課長は肘を立て自分の体を起こした。そして次に、課長の少し大きな手は私の肩にそっと回され私の体も起こされた。

起き上がった目の前には私を、見つめる課長の顔。
その顔はどこか楽しげに微笑んでいる。

「うーんそっか、…覚えてないなんて、残念。」

体は起きたけれど依然二人の距離は近いままで、課長の手はまだ私の背中にある。未だかつてない距離感に戸惑ってしまう。
残念と言いながらも笑っている課長の顔を見て、背中には冷や汗が一筋流れた。

(私、何したのー!?!?)

「まぁ、とりあえず起きますか。」

そう言って課長はベットから降りた。
やっと2人の体は離れたけれど、まだ背中にはふんわりとした温かさが残っていた。
その温かさが名残り惜しいと思う自分がいて、ベットから動けないでいると、

「こっちおいで。コーヒーでも飲もう。」

課長が微笑みながら私を呼ぶ。
「はいっ」
また一気に鼓動が早くなって体温が上がってきた。
どうしてこうなっちゃうんだろう…。
疑問に思いつつも私は急いでベットから降りて課長の後ろに着いていった。


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