天才少年と完璧少年…そして普通少女


「…ここか、第二体育準備室…」

自分の弁当を抱え、体育館の二階にある"物置べや"と化した第二体育準備室に足を踏み入れた。

「へー、本当に来たんだ?てっきり来ないのかと思ってたよ」

天井に近い窓を全開に開け、縁に腰をかけている与永。
いやいや、恥ずかしい秘密バラされるんだったら行くしかないでしょ。絶対。

「…で、何で私をここに呼んだのさ?」

「…分からない?」

与永が、一歩…また一歩と、私に近付いてくる。
対する私は、一歩も引かずに与永を待ち受ける形になる。
突如、手を思いっきり引かれ、思わず与永に抱きつく形になる。

「な、何してんの!?」

「…ドキドキしないの?」

「……ハ?」

驚いた様に与永は目を見開く。
いやいやいや、驚いたのはこっちだボケ。
急に手を引かれて、抱きつく様な形にされて…

「本当に林崎さんは、俺の事好きじゃないの?」

「ハ?」

二度目のセリフ
…こいつ、急に何言いやがる。
聞かなくても分かりきった答えだろう…

「好きとか嫌いとか…そういう以前の話だろ…」

「…へぇ」

すると、今度はニヤッと口角をあげた
私は与永に壁に押し付けられ、顔を近づけられる。

「…気に入った。林崎美夜…」

少しだけ、本当に少しだけ
嬉しそうな顔をした与永が見えた気がした。
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