いけてない私の育てかた
係ごとに集まると女子達が佐藤くんと一緒の係になれて嬉しい。なんていいながら我先に隣に座ろうとする。そんな彼女達に、

「俺は早乙女さんと同じ班だから。」

そう言って爽やかな笑顔を向けながら私の隣に座る。

ひぇー、せっかく私は目立たないように小さくなってるんですから。

迷惑なようなでもちょっとだけ嬉しかったりして。


そもそもお化け屋敷係と言うのは、オリエンテーション2日目の夜に班ごとに地図を頼りに決められたポイントに行きスタンプを押しゴールまで行くという云わば夜版オリエンテーリングみたいなものだ。
オリエンテーリングなら昼間にやればいいのに夜の方が恐怖で団結力がますんだそうだ。
そりゃそうだろう。都会暮らしで月明かりしかないような山奥で歩き回るなんて考えただけでも恐ろしい。皆早くゴールしたくなるってもん。


そして私達係の者はポイントで待機してスタンプを押したりヒントをあげたりするらしい。係は二人一組でペアーになるので班の人同士がペアーになる。

って事は当然私は佐藤くんとペアーになる。

そんないきなり佐藤くんとペアーだなんて、しかも真っ暗な中二人きりだなんて絶対無理。何話したらいいかもわからないし心臓にも悪い。と言うより佐藤くんにこんな私とじゃ失礼すぎる。

さっき佐藤くんの隣に座りたがっていた女子達がペアーは話し合いで決めたいって言ってたけど、速攻却下になってた。

却下になった瞬間彼女達私のこと睨んでたよな絶対。

でも私悪くないと思うんだけどー。
今日は説明と大体の流れを教わり明日また放課後準備のため残らなくちゃいけなくなった。

佐藤くんは相変わらずの爽やかさで私に、明日もよろしく。なんて言ってきたけど私は明日もまた彼女達に睨まれるかと思うとちょっと憂鬱になってくる。
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