いけてない私の育てかた
「ほのかー。薪集まった?」

「う、うん。これくらいで足りるかな?」


楓に気づかれないようにしなきゃ。

カレー作りに忙しい楓はいつもなら鋭い突っ込みが入るはずがまったく気づかないようでほっとする。

あとは、夜のオリエンテーリングまでなるべく佐藤くんとは顔をあわせないようにしなきゃ。

カレーを食べるときも佐藤くんから離れて食べて後片付けの時も佐藤くんに近付かないよう最新の注意を払った。


午後はそれぞれ自由行動だったので何とか佐藤くんに会わずに済むことができた。


ホテルに戻りお風呂に入り食堂に行くと担任から、

「お化け屋敷係は、この後残ってくれ。」

はぁー、これはいくらなんでも佐藤くんから逃げることは出来ない。でもなるべく顔を合わせないようにしよう。

って思ったのも束の間、

「あー、いたいた。

早乙女さん。探しちゃったよ。」


そんな無邪気な顔して……いかん、いかん。思わず見とれてしまうところだった。


心の中で何度も目を合わすな。と言い聞かせながら、

「す、ごめんね。探させちゃって。

はっはっは。」

曖昧に笑う私はきっと間抜けな顔してるんだろうな。


それから私は隣に座る佐藤くんを一度も見ることなく真っ直ぐに前を向いて先生の説明を聞いていた。


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