お菓子な男の子
真島くんと千夜先輩の言い争いに付き合ってるほどの時間はない。
リンゴと花梨ちゃんがいない今、私にできることは……


「……じゃあ私帰ります。おつかれさまでした」
「ま、待って待って杏奈ちゃん!まだ部活終わってないから!話し合いするから!ほらマシマリョくんも座って」
「ふん……」


2人はようやく落ち着いた。ほんと、世話がやけるな。
千夜先輩は私たちが座ったのを確認すると、咳払いをした。


「えー、夏休みの活動だけど、まぁ毎年の流れでいったらプラネタリウム館で開催しているイベントに参加するとか、夜の学校に集まってグラウンドで星の観察するとかだったんだけど……今年は言わずもがな、流星群観光ツアーだね!」
「そんなの知ってる。言わずもがななら言わなくていいよ」
「部員になったんなら部長の話は“黙って”聞くよーに」
「ふん……」


いちいち喧嘩しないと話ができないのかな、この人たち。
ここにいるだけで疲れるって……


「宿泊場所は決まってるし、あとは日にちだよな。俺と一臣は3年だから夏休みも学校あってさ、休みはお盆とその前後だけなんだよね」
「じゃあその辺りにするしかないね。会長さんが来れないのはかわいそうだから」
「そういえばマシマリョくんってお盆らへんは親戚同士で集まるって言ってなかったっけ?」
「そんな話ひとことも」


だからなんで喧嘩ごしじゃないと話せないの?
ほんとは仲いいんじゃない?この人たち。


「メンバー確認するけど、杏奈ちゃん、俺、林檎ちゃん、花梨、一臣だよね。あぁ、それとマシマリョくんとコンペイくん」
「わざとらしさが子どもっぽすぎて怒る気にもなれないよ」
「文句あるなら不参加でもいいけど?」
「今のって文句に入るの?」


もう好きにやってください。
そういえば……


「あの、部長?天文部としての活動になるんですよね、一応。安藤先輩と慶樹先輩は……?」
「誰それ」
「あぁ、あのユーレイ2人?気にしなくていいよ」


気にしなくてって……まぁ1度も見たことない部員さんだけど。あと気になることもうひとつ。
斗真って一応バスケ部だけど、試合とか遠征とかないのかな?かぶったりとか……


「あと、斗真の予定大丈夫ですかね?バスケ部のほう、どうかわからないし……」
「「別に来れなかったら仕方ないよ。コンペイくんは諦めよう」」


息ぴったり。やっぱり仲いいでしょ、真島くんと千夜先輩……
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