お菓子な男の子
夕ご飯もお風呂も終えて部屋に戻った私は、布団にダイブし、携帯をひらいた。


「え~と、コンペイコンペイ……ないじゃん!あれぇ、アイツの登録してないっけ……あっ、カネヒラだった。もう、真島くんたちのせいだからね……あった」


やっと斗真の電話番号を見つけ出し、通話ボタンを押す。無機質なコール音が耳元に流れる。
5回……6回……あぁもう!次出なかったら切……


「もしもし」
「斗真出んの遅いっ‼」
「うるせぇ。こっちだって忙しいんだよ」
「そんなの知らないし」
「はぁ?」


おっと、なぜか喧嘩ごしになっちゃった。これって無意識になっちゃうね。
今日の部活で真島くんと千夜先輩を心の中で責めたこと、ちょっと反省。


「ま、いいや。斗真に用事があって電話したんだけどさ」
「じゃなかったら気持ち悪ぃ」
「いちいち嫌み言わなきゃいけないわけ?」
「あぁわかったから、そんで?なんだよ、用事って」


私がわざわざ電話をしたのは夏休みのことを伝えるためだ。とりあえず8月10日から2泊3日に決定したけど、斗真の予定も確認しないと。


「……って決まったんだけど、斗真大丈夫?気持ち的なのじゃなくて、行ける?」
「カレンダー見るから待ってろ」


しばらく無言になる。
カレンダー見るって……ちゃんと予定を書きこんでいるところが斗真らしい。意外と几帳面なやつだから。


「杏奈」
「なに?だめ?」
「9日から兄ちゃ……兄貴帰ってくる」
「え?」


斗哉くんが帰ってくる……。3年前に医学部に入って地元を離れたっきり一度も帰省しなかった斗哉くんが。
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