お菓子な男の子
来た道を半分は戻ってきた。異様なほどの静寂と暗闇。ここまで何も考えないようにして歩いてきたけど、しつこくまとわりつく孤独感が俺の足を止めた。




これでよかったんだ。杏奈が俺を好きになるわけないんだ。そんなこと、とうの昔からわかってた。
最後に杏奈の本音が聞けた。俺もいなくなってほしくない大切な存在に入っているなら、こうすることだって充分な効果はあったんだ。俺の復讐はこれで成功だ。最初から俺の復讐が完全に遂げられる可能性はなかったんだから。


なのにどうして……


どうして胸が痛いんだ?足が震えてるんだ?
涙が、出そうなんだ……?


最後に嘲笑ってやろうと思ったのに、できなかった。
一生苦しめるために残した言葉は、結局今の俺を苦しめている。たぶんこれからもずっと、俺は今日を後悔し続ける。
< 150 / 181 >

この作品をシェア

pagetop