お菓子な男の子
こんな混んでる狭い車両の中をスイスイ移動していくのもスゴいけど、女性専用車両に堂々と乗ってる事実のほうが驚きだった。
確かに2人とも、学校で1位2位を争うほどのイケメンさんだけど……噂ではね?


「やっといなくなった。大丈夫だった?杏奈ちゃん」
「うん、大丈夫」
「チヨ先輩、後で通報しよ。あの車両は違反だし」


確かに違反行為だけど、学生にとってマズいんじゃ……一応受験生だし……


「真島くん、通報はちょっと…」
「お前のことも通報するぞ。この痴漢が」
「へっ!?」


後ろから怒っているような声がした。
この声、もしかしても多分もなく…斗真だ……


「わあ、コンペイくんだ。おはよ」
「カネヒラだっ!おはようじゃねぇ!」
「朝から怒ってると1日体力もたないよ?」
「てめぇとは違うんだよ!いいから早く手離せ‼」
「手?」


手?あ、そういえばホームにくるまで真島くんに手ひかれてて、そのままだった。
なんとも思ってなかった。


「コンペイくん、嫉妬は醜いよ?」
「嫉妬なんかするかっ‼杏奈が迷惑してんだろ‼」
「僕はその大きい声のほうが迷惑だと思うよ」
「うるせぇ‼いいから離せ‼」


始まった。2人の言い合い。もちろん幼稚園からずっと一緒なのに仲が悪くて、それでも一緒にいることが多いから、喧嘩も日常茶飯事化しつつあるんだけど、今は……


「私ごしの喧嘩をやめろぉっ‼‼一番迷惑だぁっ‼‼」
「ごめん…」
「悪ぃ…」


これが私、諸星杏奈(もろほしあんな)の、よくある登校風景。
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