お菓子な男の子
「あのね、毎日じゃないんだけど、最近はよく亮輔くんとLINEするの。最初は私からだけだったんだけど、今は亮輔くんからくることもあるんだ!」
「よかったじゃん!ちょっとずつでも進歩してるみたいでさ」


そういえば2人で話してることが増えてきた気がする。


「それで、驚きのことがわかったの!」
「なに?」
「私たちね、小さい頃に会ってたんだ!」
「えっ?ほんと?」
「うん!あのプラネタリウム館で」


それは私もびっくりした。あのリニューアルオープンの日、真島くん、プラネタリウム館初めてじゃなかったんだ。
でも今までそんな話1回もなかったし、あそこで真島くんに会ったこともない。幼稚園から一緒なんだから、会えば絶対にわかるのに。


「私ね、幼稚園のころからプラネタリウム館に遊びに行ってるの。家も近かったし、パパとママと初めて3人で遊びに行った場所だったから大好きだったんだ。でも1人だとやっぱり寂しくて、よく泣いてた」


リンゴのトーンがいつもと違う。両親の話になるといつもそう。


「その時にね、なぐさめてくれた男の子がいたの。一緒にプラネタリウム見てくれて、ハンカチもくれた。泣かないでって。明日も僕が一緒にいてあげるからって。でも名前を聞いたこともなかったし、アンちゃんといるようになってから会うこともなくなっちゃって……」


話を聞いてて、不思議に思った。どうして真島くんが1人でプラネタリウム館にきてたのか。どうして私が来てからこなくなったのか。どうして初めてじゃないって言わなかったのか。


「その話を亮輔くんにしたらね、亮輔くんも私のこと覚えててくれて、“あの時のかわいい女の子は林檎ちゃんだったんだね”って言ったの!ねぇ、これって運命かなっ!?私と亮輔くん、織姫様と彦星様かなっ!?」
「そうかもしれないね。よかったね、リンゴ」
「うんっ‼じゃ、おやすみ」


話すだけ話して、リンゴは静かになった。
リンゴらしい……


「おやすみ」


私の頭の中はまだ疑問が渦巻いている。
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