メガネ殿とお嫁さま

それから、
小指を立てて言った。


「心配事、隠し事はなし。
それと、きちんと相談すること。」

きっと言わなかっただけで、
すごく不安に思っていたはずなのだ。

「ゆ、許していただけるんですか。
自分のわがままで、
してることですのに。」

折角、泣き止まそうと思ったのに、
涙がうりゅうりゅと
波立った。

「それでも、不安な時は不安だと
言いましょう。

さ、約束しなきゃ、
追い出しますよ?」

僕は、小指をくいっとあげた。


「理太さま…」

彼女は、小指をそっと
僕に絡ませた。



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