不順な恋の始め方

「大体、そんなに心配なら本人に聞いちゃいなさいよ。」

「え!?」

「だって、そうでしょう? 話聞く限り坂口先輩は柚希に真っ直ぐ向かい合ってくれてるじゃないの。柚希が真剣に聞いた事なら絶対に真っ直ぐ返してくれると思うよ?私は」


「そ、っか……」



涼ちゃんの答えに私は納得せざるを得なかった。……だって、本当にそのとおりだったから。


まだ1ヶ月とはいえ、少なくとも涼ちゃんよりは譲と一緒にいる私。

そんな私なのに、涼ちゃんの方が譲の事を分かっているみたいで少し悔しいけれど、この私のネガティブ思考が悪かったんだ。



「……ごめん、涼ちゃん。ありがとう。私……譲のこと、もっと、ちゃんと信じないとだよね。」

「そうそう、やっと分かった? そういう事だよ。夫婦って」


ささ、ケーキ食べよ。と目の前のショートケーキへ目を移した涼ちゃんの一言一言にはどれも深く頷きたくなる。

旦那さんの圭さんと、かれこれ2年近くを夫婦として幸せそうに過ごしている涼ちゃんはやはり頼りになるなぁ……

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