ジキルとハイドな彼
「左から過去、現在、未来を占いカードとなっています」

私はコウの説明にコクコク頷いて耳を傾ける。

「では最初に過去から」

コウは左端のカードを表にめくりながら言う。

スフィンクスに引かれた二輪車に乗った若者が描かれたカードだ。

そんな悪い感じはしなかったけど、逆さまになっているのがちょっと気になるとこである。

「戦車の逆位置になります。これは自分をコントロールできず、暴走状態に陥っている、という意味をあらわしています」

20代最後の反抗期の事を思い出して思わずギクリとする。

「次は現在」コウは2番目のカードを表にした。

塔に落雷が落ち、ふたりの人間が真っ逆さまに墜落している絵だ。

…なんか、あまりいい感じじゃない。

「これは塔を現すカードです。正位置だと崩壊、逆境、災難が降りかかる事を意味しています。今すぐにでも現状の見直しと改善が必要、といったところでしょうか」

私は顔を引き攣らせて、そうなんだー…と力なく呟いた。

「次は未来」

私はゴクリと唾を飲み込んだ。

コウはが最後のカードをめくった瞬間、私は「ッゲ!」と声を上げた。

し…死神…

タロットカードの知識なんかなくったって、あきらかによくないカードだ。

なんてったって「DEATH」の文字が入ってるし…。

私は言葉を失った。
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