ジキルとハイドな彼
さっきまでの緊張が緩み一気に眠気が襲ってきて、正常な判断力が失われつつある。

コウは当分帰って来そうもない。

「とりあえず、寝るか」

疲労と緊張でこんがらがった頭をもたげてヨロヨロと寝室に向かう。

広々としたダブルベッドにごろりと横たわり、羽毛布団を頭まで被ると、コウの香りに包まれた。

先ほどのウットリするキスの感触を思い出す。

楽しむ、とか楽しまない以前にコウに求められて私が拒むことは不可能だろう。

コウの枕を抱きしめてそのまま夢の中へと落ちて行く。


結局、この日コウが家に帰ってくることはなかった。
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