さよならだね。



愁くんに出会う前、恋愛なんて気にも止めてなかった。



どちらかというと男の人が苦手で、恋して胸がきゅんとときめくなんて、そんなこと何年もなかった。



人を愛すること、人に愛されること、それがどれだけ幸せかなんて、考えたこともなかった。




そんな、愛に触れる機会さえ求めてなかったあたしには、さよならだね。





愁くんと出会って、愁くんに恋をして、あたしはたくさんのことを知った。



恋は、楽しいばかりではなかった。



幸せもたくさんあった分、辛いことだってたくさんあった。



誰かにヤキモチを妬いたり、嫉妬して自分が惨めになったり、自分を嫌いになりそうになったこともあった。



大好きな人と別れること、離れることが、こんなに心をボロボロにするんだって知った。



好きな人が、他の人を好きになるっていう苦しさ、もどかしさも感じた。



愛する人の記憶から、心から、自分が消えてしまう恐怖があるということも知った。




でも愁くんは、何度だって、あたしのことを好きになってくれた。



こんなあたしを、愛してくれる。




だから、昨日までの、記憶に怯えるあたしにもさよならだね。





これからは、最愛の人と共に、歩いていく。



あたし達の道を、、。


あたし達の未来を、、。



、、ずっと一緒に。



【 完 】
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