【完】いいかげん俺を好きになれよ

いきなりの出来事に、思わず心臓が飛び跳ねた。



だって…アユが……



今なんて言った…?



「えっ…そうなの…?

ごめん……

あっ、じゃあね!」



笠原さんは気まずそうにそそくさとその場を去っていく。


あたしはまだ信じられなくてポカンとしていた。



するとアユがゆっくりと、向かい合うように目の前に…。



はじめて今日、目が合った。



やばい、なんか…涙出そう。



「……アユ…」


「帰んぞ、美優」



その言葉は…いつもの彼で。



あたしは確かに胸の奥が、じわっと熱くなっていくのを感じた。


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