俳句ほのぼの
窓辺にゆれる


まだ私が学生だったころ、よく母に
尋ねられました。



「今日の晩ご飯は何にしようかしら。
ねぇ何が食べたい?」

「べつに。何でもいいよ」
思春期に入っていた私は、素っ気ない
返答をしました。


「何でもイイが、一番困るのよ」


今思うと、家族のために、毎日食事を
作るって、本当大変なことですよね。


なのに、まだそこまで気が回らず、
非協力的な私。
母、ほとほと困り果てているようでしたが、




こういうこと、俳句でもあります。



「俳句、作ってみたいけど、
何を詠んだらいいのか分からない。


「『何でも、好きなことを詠んでいいのよ』、
と言われるけど、「何でもいい」
というのが、かえって困る。」


といった具合に。



ですが、ご安心ください。
俳句では「兼題」(お題)というものを
あらかじめ決めておきます。



で、その「兼題」に沿って、
次回の句会に句を持ち寄ります。


「兼題」は、何でもいいんです。
花や旅や、虫、遊びなど、
季語になってないものも
OKだし、


逆に季語になっているものが
兼題でもかまいません。


春とか、雪とか、秋の野菜、などです。


で、この兼題ですが、
私の通っている教室では、
毎回、受講生が交代で、
毎回違う人が兼題を提示するので、
偏りがありません。


バラエティーに富んだ、
とまでは言えないかもしれませんが、

毎回違った、それぞれ受講生さん
ならではの兼題が提示されます。


そして、今回の兼題は、
私にとっては、今までに類のない
兼題でした。



兼題「六月」なんです。


「六月? え…?」


春とか、梅雨とか、
夏なら分かるのですが、
六月??



随分ダイレクト



困ってしまいました。


とはいえ、毎回困っているのですが…。


でも、仕方ありません。
出されたからには、なんとしても、
作り上げたいですよね。


というわけで、苦しみ紛れでで出来ました
のが、まずはこちら。


六月の 窓辺にゆれる ジャズソング
季語:六月


すっかり日の長くなった初夏の夕暮れ
窓辺でコーヒーを飲んでいると、
ちょうどステレオからは、
エルビスプレスリーの


「Can’t Help Falling In Love 
好きにならずにいられない」
が流れていました。


個人的に、この曲、大好きなんです。

ジャズ、と言い切っていいのか
分かりませんが…。


と、これについては、先生から特に
お直しはなかったのですが、


折しも、同じ俳句仲間の先輩が、
次のような句をお作りになっていて、
驚きました。


六月の 夕日沈まず ショパン聴く
季語:六月


正直、「やられた」と思いました。
私も、同じく初夏の夕刻の出来事を
詠みたかったのですが、
上手くまとまりきりませんでした。


「夕日沈まず」、
そんなふうに詠めるのかぁ、と思いました。







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