今、ここであなたに誓わせて

4才/17才


悲劇は突然やって来た。寒い冬の夜、夕方から降り始めた雪で起きたスリップ事故で両親と祖父母は即死だった。
事故で病院に運ばれたと聞き、病院へ駆けつけた時にはもう手の施しが無いような状態で白い布に包まれていた。心の準備もできないまま静かに永遠の別れを医者から告げられる。

親戚の叔父さんと共に死亡確認をと病室に入る。だけど、死んだなんてとてもじゃないけど信じられない。だってさっきまで普通に笑って一緒にテレビ見て、母さんにテレビの音が大きすぎるって注意されていたんだ。死んだなんて嘘だ、こんなに人の死が呆気ないはずない。誰か、誰か嘘だと言ってくれ。

あまりにも突然過ぎる別れに、未だにこの現実を受け入れ切れられないでいる中、無情に医師が淡々と告げた。

「心臓と呼吸が停止し……、2時47分、残念ですが……」

茫然とまるで他人事かのように、目の前の両親と祖父母が包まれる布を見つめる。突然過ぎる別れに涙さえ出ない。すると、部屋の外から子どものけたたましい声が聞こえてきた。

おかしゃんはーっ?

病室の外から聞こえてきた子どもの泣き叫ぶ声。母親を探しているようだ。そこでふと我に返ったように、部屋を出た。あぁ、そうだ、妹が、妹がいた。部屋の外へ出ると、泣きじゃくる妹が叔母さんに宥められていた。俺の姿を見つけた途端、

「にいしゃーんっ」

と、そう言って駆け寄ってきた。……家族の死を、あの白い布を見せてどう認識させろというんだ。こんな小さな子供の初めて触れる死がこんなに一番身近な人間のものだなんて。

「おかしゃんいないの、おとしゃんもっ」

俺を見上げる小さな体をぎゅっと抱きしめた。

「にいしゃんも泣いてるの?どうしたの?」

妹の体は自分のひどく冷えた体よりずっと温かくて。慰めを求めるようにその温かい体を泣きながら抱きしめた。

そして叔母さんや叔父さん、親戚の人達の手を借りて葬式をした。まだ実感が沸かないうちに2人は灰になった。当たり前だった日常が突然なくなり、今までの生活は一変した。


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