~SPの彼に守られて~

「千明、こっちだ」

 鷹野さんは私の手を取ってオートバイに股がり、その後ろに私を股がらせてエンジンを掛ける。

 ってことは、今度はこれに乗って移動をするってこと?!本気なの?!

「危ないから、しっかり掴まってろ。行くぞ!!」
「は、は―…、うわっ!」

 返事をする暇を与えず、オートバイはビルとビルの間の細道を走り抜ける。

 こんなにスピードを出していて大丈夫?警察につかまったりしない?まるで遊園地の絶叫系の乗り物に乗っているみたいで、怖くて目が開けられない!!

 鷹野さんの腰に手を置いているけれど、この手を離したら絶対にオートバイから落ちちゃう!!!

「もう嫌…」
「大丈夫だ」

 鷹野さんの腰を必死に掴んでいる手に、鷹野さんの片手が重なった。

 温かいなぁ……、こんなの時に思うのは不謹慎だけど、鷹野さんの大きな手は温かくて、震える私の手を必死に和らげようとぎゅっと包んでくれている。

「もう少しで鷲宮さんの所に着くから、大丈夫だ。まだ運転をしなくちゃいけねーから一旦手を離すけど、お前はこのまま手を離すなよ?」
「は、はい」

 重なった手がそっと離れると鷹野さんは運転に集中して、私は鷹野さんのスーツをギュッと握り続けて身体を密着させた。
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