ふりむいてよキャプテン
真っ白い肌を赤くして落ち着きのないにっしーに、私もそわそわしてにっしーの顔がまっすぐ見れない。

なんだろう、これ。


炎天下の中、暑くて熱い試合が行われた球場の廊下。

きっとこの場所のイメージを色にしたら、燃えるような赤がぴったりなのに。


ここだけ甘ったるいピンク色のオーラが漂っているような気がして、妙に居心地が悪くて気まずい。



「きょ今日はヒロシも立ち上がりから調子悪かったから心配してたんだけど、いつき先輩が声かけてくれたり盛り上げてくれたから助かったよ」


「だ、だよね。
やっぱりさすがキャプテンだよね。
いつき先輩が内野にいてくれると安心感があるっていうか」



居心地の悪さに耐えかねてか、棒読みで突然話を始めたにっしーに、私も棒読みで話を合わせた。


ふいににっしーの部活用の野球バックが目に入り、それを見てますます気恥ずかしい気持ちになる。

硬派な真っ黒の野球バックにつけられた、私が夏大の時に作った可愛いいちご柄のお守り。

可愛さと硬派が見事に反発しあって、全然合ってない。


こんなの、つけてくれてるのにっしーだけだよ......。



それから私たちは、いつき先輩の集合がかかるまで、ピンク色の気まずい空気の中、棒読みで話を続けたのだった。
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