ふりむいてよキャプテン
照れながらも言った言葉に、にっしーは返事もしないで試合中のグラウンドをじっと見ていた。

ちょっと......。
なんかないの?

これで違ってたら、私ものすごい恥ずかしい人じゃん。


自分から言わせといて無反応のにっしーにイラっとしながらも、スマホを見るとすでに集合時間の五分前。


そろそろ行く?と言おうとすると、ふいににっしーと目が合ってしまった。


「引退したら、マサに返事聞くんだよね?
その後でいいから、俺の話も聞いて」


再び試合中のグラウンドに視線を戻し、少し固い表情を浮かべるにっしーの横顔を見ながら、うんとただ一言だけ言ってから、うなずいた。


「......ありがとう。
よし、夏大のことより、今はまず目の前の試合だね。
いこう」


それきりまたいつもの柔らかい表情に戻ったにっしーと、二人で集合場所まで歩いた。







そして......。
私たちは春の大会では、みんなの目標としていた県大会出場を達成。

それから、三ヶ月が経ち、ついにこれで引退となる夏の大会予選が始まった......。
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