【完】幸せをくれたあなたに。
あんなふうに笑える藍那が、心から羨ましいと思った。
「みーちゃん?」
人が多くて、店の少ないところを歩いてた私たち。
そのせいか、遥生くんはお面を手に持ち、外していた。
遥生くんが、心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「……ずっと思ってたんだけどさ」
「……?」
私の顔をジーっと見て、ゆっくりと遥生くんの手が伸びてきた。
「このメガネ、ちゃんと見えてんの?」
そー、と私のメガネを取る遥生くん。
長い前髪が左目だけ隠れて、右目は遥生くんの首下あたりが見えた。
メガネを持っていた遥生くんが、その私の隠れた左目の髪を見えるように、髪に触れた。
久々に見た……。
メガネではなく、なにもなしの普通の景色が。
少し、違和感もあったけれど、私は大して視力が悪いわけではないから、いってもダテメガネみたいなものだ。
「みー……ちゃん……?」
両目が見えたままの私は、遥生くんにまだ髪を触れられたままだ。
長身な遥生くんをゆっくりと見上げる私。
ジィーと見つめていると、