この恋、きみ色に染めたなら

*アイツ、好きなのかもよ?







先輩は私が一生懸命、横に追いついても振り向きもせず、ただひたすら足を動かす。





けれど先輩の足はきちんと学校から割と近くにあるショッピングモールに向かっていて、私はひたすら先輩の横をキープするように足を動かした。








ショッピングモールに着いても先輩は無言をキープしていて、




『……映画館は反対側の3Fですよ…』



と、私が声をかけたところで、ようやく私を方に振り返った。










『……あっそ。』




それだけ短く答えると先輩は再び足を動かしていく。






先輩の中で私がトロい存在であること、それはもうすっかりと忘れられているのだろうか…そう思ってしまうほど先輩のスピードはユックリになることはない。





いや、あれが先輩の素のスピード、なのかもしれないけど…。






エスカレーターで3Fまで辿り着くと先輩はすぐさま映画館のチケット売り場まで向かった。









『紗希、あと10分で上映する、急ぐぞ!』



先輩はようやく話してくれたかと思うと私の手を勢いよく引き、そして長蛇の列に突っ込んでいく。







『………へ…?先輩…………?』






長蛇の列に突っ込んでいった、そう思ったらそのまま歩いていく先輩…




いやいや、普通は長蛇の列の最後尾え並ぶはず………ん…?










『…あ、あの……先輩、並ばないと……!』





私の言葉に先輩は首だけで振り返り、





『並ぶも何も通ってもいい道が出来てるから』






そう、しれーっと答える。







確かに先輩が通ろうとしている道は通れる………通れる…?








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