この恋、きみ色に染めたなら
『……そうですよ…。
彼氏が浮気性で境遇が似てるからですよ!』
私がそう答えると、先輩はもう一度その絵を見つめる。
『同じ境遇、でもこの女は恋の色を“ピンク”だと言った。
でも紗希は"透明”だって答えた、同じなのに人の感じ方によって表現も変わってくる。
人の感情って面白いよな』
…んな、しみじみと言わないでください。
『あの……!
そういう先輩は恋の色、何色なんですか?』
先輩は見つめていた絵からユックリと私の方に視線を変えた。
再び合う、二人の視線…
本当に先輩って、整った顔をしてる………
そう思った、次の瞬間。
先輩は持っていた絵をテーブルに置き、そして椅子から立ち上がった。
整った顔が見えなくなり、私は立ちあがった先輩を見つめる。
『俺、恋なんてしたことないんだ。
恋、っていう感情、俺の中に芽生えたことなんてねーから』