この恋、きみ色に染めたなら







『ごめんね……凪。

 わざわざ中庭まで来てもらっちゃって……』






『いいよ、だって山科先輩と出ていった後で、今は自習中でしょ?

 絶対、他の女子たちから山科先輩とのこと、突っ込まれるもん、紗希。

 授業は話しかけてこないだろうし、2限までここにいよー』








明るく、そう答える凪ー…



もしかしたら、私が山科先輩と教室を出ていった後で、凪が他の女子たちに問い詰められたりとかしてたんじゃ……








『それで紗希、山科先輩と話した以外にもなんかあった?』






『………え……?』




凪に何か迷惑をかけてしまったかもしれない、そう考えていた時に、突然の凪からの問いかけに私は変な声を出してしまった。









『なんかさ、山科先輩と話したくらいなら……。

 予想だけど、山科先輩の話って、告白とか…でしょ?

 紗希は成田先輩のことが好きだから、山科先輩からの告白に迷うことはないだろうし。

 教室に戻りづらいってだけの理由で真面目な紗希が授業をサボるとは思えない。

 他に紗希を揺らがすようなことがあったんじゃないかなって、そう…思ってるんだけど、私……』









鋭い………



凪はいつも私が困ってる時、悩んでる時、すぐに気がつく。



どんなに冷静な態度を取っていても、ほんのわずかな違いに見抜いて、いつも気が付いてくれる。




凪の鋭い指摘、そして凪の鋭い視線に見つめられ、私はため息をひとつ吐いた。








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