この恋、きみ色に染めたなら
とりあえず私は目を瞑った。
目を瞑って、比呂と過ごした時間を思いだす。
比呂がいた、その時の思い出を振りかえる。
でも、すぐに私は目を開いたー…
『すぐに思いだせるようなエピソードないの?』
先輩の言葉に、私は先輩を見上げる。
先輩の言うとおり…
目を瞑って、比呂と過ごした時間を思いだした。
比呂がいた、その時の思い出を振り返った。
でも、なかったー…
泣いてる自分なら沢山思いだせるのに。
引き攣り笑いをする自分なら思い出の中に沢山いたのに。
本気で楽しい、幸せだと、笑う自分の姿はいなかったー…
そう思ったら。
そう自分で気付いたら。
私の目から、いくつもの涙が溢れだした。