この恋、きみ色に染めたなら

*『俺、お前のことが好きだ……』










ピ、ピ、ピ、ピー……




規則正しい、機械音が耳に聞こえてくる。




よく医療ドラマでみるモニターの音に似てる。










耳から入ってくる情報を頼りに、重たい瞼を開けようとする。



こんなにも瞼を開けることに苦戦したこと、あっただろうか。



そんな疑問を持ちながらも私は何度も重たい瞼を開けようと脳から指令を出させる。




でも思うようにいかなくて、瞼を開けたいはずなのに、何故か指先が動いてしまった。












『…………紗希……?』






ほんの少しの指の動き、されどその動きに先輩は気付いたのだろうか。



愛しい人の声が私の耳元に入ってくる。








ほら、愛しい人が私を呼んでる……



ほら、愛しい人の顔を見るんだよ、紗希!



私は何度も自分に言い聞かせ、その思いが通じたのか、瞼がユックリと開いてくれた。













『………紗希……?

 紗希……紗希……!?』






目を開けた瞬間に見えるのは、真っ白な無機質な天井。



そんな私に、“こっちを見ろ”と言わんばかりに愛しい人の声が聞こえてくる。






私はユックリと、顔を声のする方へと動かしていく。














『…………紗希………』






そこには大粒の涙を零す、私の一番大好きな人の顔があったー………











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