この恋、きみ色に染めたなら






『紗希』




そう呼ばれた時には、目の前に先輩が立っていて。













『え………』




そう声を発した時には先輩に腕を引かれ、そして美術室の扉に背中を強くぶつけていた。





ドンーー





という低くて重い音がしたと同時に背中に広がる痛み。





その痛みに一瞬目を瞑ってしまったけど、再び目を開いた時、私の顔の横には先輩の両腕があって…




先輩と美術室の扉の間に挟まれる形になっていて。






その体制に、先輩の近距離にある顔に胸がドキッと鳴った。











『お前、なんか言われたの?』




いつもより、少し低く聞こえる先輩の声…









『誰に、なんて言われた?』








突然の先輩のこの行動にまだ頭が事態を上手く処理できていないのに。




そんな近距離で問いかけられても答えられないよ…!








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