この恋、きみ色に染めたなら
『冗談はさておき、それでなんでモデル辞退な訳?』
なんでって…
私がモデルをやらなければいけない、正当な理由もないし…
『先輩はこの学校の王子です!
私じゃなくても…先輩の追っかけに頼めばいいじゃないですか…』
そうだよ、
先輩が頼めば、喜んでモデルをやりたいという子なんて山ほどいるじゃないか…
だから、そういう子に頼めばいいんだよ…
『モデルを選ぶのは俺、なんだけど?
そもそも俺を好きだという女を描いても楽しくねーじゃん』
先輩はそう言って、私の顔を見ずに再びキャンバスの方に歩いていく。
『俺は紗希だから、描けると思った』
ボソッと先輩から聞こえる、その言葉…
“紗希だから”
その言葉に妙に意識がいってしまって、私の顔は熱を帯びていくようだった。