この恋、きみ色に染めたなら





『モデルと描く人、かー…。
 でも成田君のあんな生き生きしてる顔、久しぶりに見たなー』






先輩の生き生きしてる顔…?






『あのことがあってから成田君が感情を表に出しているところ、見てなかったから…』





あのこと…?







『……先生、あのこと…って…?』



私は柳先生に気になったことを問いかける。





いつの間にか美術準備室に辿り着いたみたいで、柳先生はその部屋のドアを開けた。



古臭いドアが開き、初めて見る美術準備室ー…







“入るな”とは言われてるけど“見るな”とは言われていない。



それに柳先生が言葉なしにドアを開けた、これは不可抗力ってやつだ。





目に映る美術準備室は布で覆われた一枚のキャンバス、それと折りたたみ椅子が二つあるだけだった。






でも、気になるのは、折りたたみ椅子の一つにはバラの絵がプリントされたクッションが置かれていること。







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