晴天のへきれき?
目を丸くした能面?
*****




「クシュン!」

私のくしゃみに、木村が心配そうに振り返る。

「先輩。大丈夫ですかぁ? 目が虚ろですよ?」

「あ~。うん。昨日お風呂で寝ちゃって」

「溺れませんでしたかっ」

「溺れません」

カタカタと機能的にキーボードを打ちながら、咳ばらいする。

喉には異物感。

鼻の奥が妙に違和感。

目はウルウル。


完璧に風邪だね☆


熱もあるとみた。

測らないけど。

見ちゃうと具合悪くなる派だし。



もう朝礼も終わったし、事務の子たちに書類を分配したし、何かトラブルでも起きない限りは平穏な日だけど。


隣に座る、かわいい後輩を見て悩む。

木村も事務の管理職で私の補佐役だけど、なんせまだ若いからなぁ。
私が外れると、お局様の高木さんはまだ御せないだろうし。

ウチの中でトラブルメーカーなのは、高木さんだからなぁ。


「朝倉さん?」

「あい゙」

鼻も詰まって来たかな?

振り返ると、無表情の室井チーフがいた。

「これを使うといい」

そう言って手渡されたのは、新しいマスクと冷えピタ、栄養ドリンク。

瞬きする私に、能面チーフはポケットティッシュもくれた。
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