晴天のへきれき?
ぼんやりとした視界の隅に、タクシーの空車ランプが見えた。

また一歩下がって、室井さんを見上げる。


いつも通りの無表情が見えた。



「……タクシー、来たみたいだから。チーフは皆の所に戻って下さい」


ニッコリと微笑んで、手を離す。

それから背を向け、タクシーに向かって手を上げた。


「朝倉?」


目の前に空車が停まり、後部座席のドアが開く。


「じゃ、また月曜に」

見もせずに呟いて、乗り込んだ。


住所を告げるとドアが閉まって、ゆっくりとタクシーは走り出す。



誰も通らない交差点。


無意味に変わる信号。


ビルの谷間を抜けた時、河川敷の風景が広がった。


遠くに見える空が、濃い青からだんだんと綺麗な橙へと染まって行く。


その空が、

私の目の前で、ゆっくりとにじんでいく。


瞬きすると、涙が零れた。


次から次に、雫が落ちて頬を濡らす。
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