蜘蛛の巣にかかった蝶のようで


ばっと私を突き放して

どこかへ走って行った。

何が起こったか分からず私はその場で腰を抜かし、ヘナヘナと地面に腰をついてしまった。

幸也に……知らせなきゃ……。

カバンからケータイを取り出し、文字を打とうとするけど、震えた手で上手く打てるわけがない。

さらに焦りを覚えて、速くなる鼓動。狂う手元。

早く…早く…早く…。

「なーにケータイなんか見ちゃって。アイツに連絡しようとしてた?」

「ひゃっ……!」

また心臓が飛び跳ねる。

後ろには息を切らした築山君が立っていた。

「いや〜、猛ダッシュしちゃった。」

「やだぁ…っ。幸…也ぁ……。」

「えーだからアイツの名前呼ぶなって。それにアイツならもう帰ったよ。」

……。

何を言ってるの?

「ごめんね、俺が帰らせちゃった。」

悲しみより怒りがこみ上げてくる。

「本買いに行く途中で水谷に会ったんだけど、やっぱり幸也には会いたくないって他の男と歩いてたよ〜って言ったらメールも着信拒否するって怒って帰ってった。」

「…………。」

どうやったらそんなこと言えるのか。

どういう神経でそういう嘘をつけるのか。

悲しみと恐怖はたちまち怒りに変化した。

「ふざけないでよ……。なんで……邪魔ばっか……するの……?」

怒りすぎて……涙が溢れてきた。
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