鬼伐桃史譚 英桃

 ――そう。人間が存在するかぎりは鬼もまた、人と同じ刻を生きるのである……。


 その鬼の中でも、もっとも凶暴とされるのが『大鬼』と呼ばれるものだった。

 大鬼は、それはそれは巨体で、彼から見れば人は豆粒のように小さく見えるほどだった。

 そして、普通の鬼の三倍以上の力を大鬼は持っていた。


 大鬼が現れるところ、村が全滅するのは必定。力なき民は逃げ惑うことしかできない。


 だが、人知れずその大鬼を退治できる唯一の一族が人目もつかない山奥の集落にひっそりと暮らしていた。


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