残 ―zan―
…田中美優だ。

彼女は目を見開き息絶えていた。
そして、右腕が無かった。

全身が凍ったようだ。足が地面に固く根を張ったようだ。血が身体からすべて抜けたようだった。知人と繋いでいるはずの手ですら、繋いでいるのかわからなかった。

店主の白いエプロンは赤黒く染まっていた。

店主を見やると人の右腕を僕たちに見せた。


「君たちが来てくれたお陰でこの店が繁盛したよ。……でも、人気になり過ぎると材料が足りなくてねぇ」

店主は包丁を置いた。
奥の鍋の中には、たくさんの骨が入っている。

「…なかなか良さそうな子が見つからなくて」

ゆっくりとした語り口調で言う。

店主はエプロンを脱いだ。

「…君たちを侮りすぎていなのかもしれないな」

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