懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
俺がそう言ったとき、春姫が「これ、お湯じゃないよ」と、返事をした。


「え?」


「ほら、微かに香りがする。これは油だよ」


そう言い煮えたぎっている鍋を見つめた。


油……。


「とにかく、危ないから一旦火を消そう」


俺はそう言い、スイッチに触れた。


しかし、スイッチが切れないのだ。


何度押してみても、スイッチは入りっぱなしの状態から戻らない。


「なんだよ、これ」


この状況はドアが開かないのと同じような状態だ。


押しても引いてもビクともしない。


しばらく粘っていたが、俺はとうとう諦めてスイッチから手を離した。


鍋もどうやってくっつけられているのか、そこからどかすことが出来ない状態だ。


「なぁ、なにかヒントはないのか」


そう聞いた時、百合がテーブルの上に2本の包丁を置いた。


「これ、食器棚の中にあったわ。冷蔵庫の中に鶏肉はあったけれど、きっとあれは毒がもってある。この2本の包丁以外には、何もない」

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