懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
《原正拓夢がコーヒーを作り、原正拓夢がそれを飲みなさい》


「……コーヒー?」


俺は久しく飲んでいないその味を思い出していた。


口の中に広がるほろ苦い味。


喉の奥まで入り込む豆の香り。


思い出しているうちに俺は戸棚を開けていた。


中には沢山の食器と一緒に高級そうなコーヒーカップが置かれている。


それをワンセット取り出し、作業台に置いた。


続いて引き戸を開けてみる。


そこにはスプーンやフォークがズラリと並んでいる。


その中にカップとお揃いのティースプーンを見つけて、作業台に置いた。


俺はテキパキと作業を続ける。


まるで、このキッチンのどこになにが置いてあるのか、全部知っているかのように。


高級なコーヒー豆を取り出し、コーヒーメーカーに入れる。


お湯を沸かし、準備をする。


「ほんと、疲れた」


思わず本音がもれる。


やがてひきたて豆のいい香りがキッチンに広がった。
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