懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
山岡家に仕えている人間でもない彼は、この日だけ悠に雇われた人だった。


彼もまた、お金で苦しんでいたのだろう。


そしてボートは俺1人を乗せて動き始める。


俺はゆっくりと遠ざかっていく建物をジッと見つめていた。


建物の上には誰かが立っている。


ここからじゃその姿はハッキリと見えないが、双眼鏡を使うとそれが悠であることがわかった。


ジッとその様子を見ていると、悠がこちらへ向けて手をふった。


俺はそれに手を振りかえす。


悠はまたニッコリと笑うと……躊躇なく建物の上から飛び降りた。


俺は双眼鏡を外し、島を見つめた。


「みんな卒業おめでとう。そして、さよなら」


俺はそう呟き、百合のヘアゴムを海に投げ捨てたのだった。
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