懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
「なにこれ。あたしこんなにスプーンばっかり持ってないよ?」


「そうなのか?」


「だってあたし一人暮らしなんだよ? こんなに必要ないじゃない」


「それもそうだな……」


俺は彗の言葉にうなづく。


確かに、茶碗やお椀などはひとつずつしかない。


スプーンだけが引き出しから溢れんばかりに入っているのだ。


これはどう見てもおかしい。


「ここ、あたしの部屋を忠実に再現しているけれど、どうして引き出しの中だけ違うんだろう」


彗はそう言いながら、一段下の引き出しを開けた。


中には、また大量のスプーン。


他の場所も確認してみたが、お箸やフォークといったものは見つからなかった。



「紙やペンも置いてないな……」


手分けをして部屋中を確認してみた結果、家具以外に置いてあるものは食器とスプーン。


そしてフライパンだけだということがわかった。
< 43 / 281 >

この作品をシェア

pagetop