異常って言われても構わない。
…ヤバかった。
今までの人生の中で一番ヤバかった。


何言ってんだよ俺ーーっ!!(心の叫び)


馬鹿じゃねぇの
馬鹿じゃねぇの
馬鹿じゃねぇの!!!

今まで散々隠し通してきたってのに…

まさかこんな風に
こんな簡単に
俺に好きな子がいるってことが

『本人』にバレてるなんてっ!!!!


「明希ー?」

「うぉえっ?!」


いきなり時雨の声がしてびびったが
どうやら下から呼んだだけみたいだ。


「ぶはっ何その声!
 てゆーか早く準備しろよなー。
 朝練始まっちまうー。」

「わかってるから 黙って待っとけ!」


バクバク鳴る心臓を落ち着かせるために
俺は1回大きく深呼吸した。

さっきだって鼓動が半端なくヤバかった。


「絶対言う訳にはいかねーのに…。」


途中まで言ってしまった。

『好きな子がいる』。

絶対バレたらいけない。
絶対伝えたらいけない。
絶対気付かれたらいけない。


俺が時雨を好きだってことは…。


ずっとしまってきたんだ。

中学で初めて時雨を見た時から
ずっと隠してきた。

ずっとそうやって隠して
やっと1番のダチっていう
ポジションを手に入れた。


気持ちを隠すのは辛い。

何度伝えようとしたかわからない。

でももし俺の気持ちを時雨が知ったら
今みたいに一緒にいてくれなくなるのは
目に見えてる。

今更しょうもないこと言って
今までの苦労を無駄にするわけには
いかないんだよ。


「…落ち着け、俺。」


『恋愛運が最高』?
『告白したら絶対成功』?

そんなことありえない。

たかが占いだ。
惑わされるな。


もう一度深呼吸をして
俺は部屋を後にした。
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