大海原を抱きしめて



「お父さん、香乃だってもう23よ?自分のことくらい自分で守れるって」

「だからって、心配するなって言うのか?」

「そうじゃなくて」


夫婦の会話に、私は割り込む必要はないと思ってるから、いつも傍観者。

静かに台所を抜け出した。

お父さんにとって娘に近づく男はみんな害虫みたいなものなのよ、と以前お母さんが言っていたことがある。

男を連れてくるなんて10年早い。

酔っぱらってそんなことも言っていたらしいお父さんは、私が小さい頃から過保護だし過干渉だった。

最近はその性格を理解した上で、うまく自分と向き合うようにしてるけど。
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