き み さ え い れ ば 。

ノックしてみたけど中から返事はなく、
迷った挙げ句、静かにドアを開けた。

荻野さんは、部屋の隅っこで踞っていた。


『荻野さん……』

「っ、なんで来たんだ……」

『課長に……頼まれて』

「……くそじじぃ」


何を話せばいいんだろう……

荻野さんを纏う空気は
明らかにほっといてくれという感じだった。

でも、こんな状態の荻野さんを
ほっておくことなんて出来なかった。



< 81 / 127 >

この作品をシェア

pagetop