正義は誰が決める?


雲ひとつない水色の空に気分が落ちていくのは、多分気のせいなんかじゃないだろう。

だいたいフロントガラス越しでも分かるぐらい暑いのになんでクーラー入れないんだよ。

はぁ、と遠慮なくため息をこぼして重苦しい車内の誰も何も言わない雰囲気をぶち壊す。


「言いたいことあんならはっきり言えば?」


目を閉じて我関せずって態度のくせして殺気出しまくってる総長さんを睨む。

ちなみに、清は僕の膝の上で眠ってる。


朝方に清を寝かして自分も寝て、学校に行ったのは完璧遅刻の12時昼休み。

俺的にはどうでもいいんだけど連絡なしで遅刻した俺を気に食わない総長様は強制的に僕を車に乗せた。 どこに行くのかと話を聞いて居れば行先は倉庫。


しかも刹那や亮太もルイも一緒。

そんなこんなで機嫌の悪い僕は静かな社内に何も言わずに察してもらおうなんて考えてる総長様にも苛立ってるわけで。

二度目のため息をこぼして何も言わない総長様から視線をそらした。


フロントガラス越しに流れていく街並みは嫌な思い出を呼び起こす。

いつもは思い出さないのに。
機嫌が悪いせい?

ポケットで震えるスマホを取れば着信。
誰かと思えば非通知。

思い当たる節がないかと問われれば間違いなく否だ。けど、思い当たる節が多すぎる。


下がる一方の気分を他所に、相手は俺が電話に出るまでコールを流すつもりらしい。

今日1日で何度目か分からないため息をついて、仕方なく、本当にしょうがなしに、電話に出た。

< 23 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop