ラグタイム
夕貴が告白を受けたその後のことだった。

彼は女性客と顔を近づけるように、メニューを覗き込んだのだ。

下心はなく、ただ単にオススメのケーキを教えてあげるためにメニューを見たのだと言うことはわかった。

その時に女性客との顔が近くて、俺は夕貴が彼女によからぬ勘違いをしてしまうのではないかと不安になった。

そう思っている俺も俺で勝手な解釈をしてしまっている訳だけど…。

そんなことから、俺は彼を叱ってしまったのだった。

つい口うるさくなって、大輔さんから止められてしまったほどである。

勝手な解釈をされたうえに口うるさく叱られたから、夕貴も困ってしまっただろう。

そう思っていたら、
「――痛ッ！」

夕貴の悲鳴に俺は我に返った。
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