ラグタイム
「まあ、初めてにしてはよくできているんじゃないか?

この調子でお前の料理の腕があがることを祈ってる」

藤本さんはそう評価した後、キャベツを口に入れた。

「やったー」

あたしは両手を上にあげて喜んだ。

「まだ抜き打ちチェックが終わった訳じゃないぞ」

ピシャリと藤本さんに言われた。

「で、ですよねー…」

これから先も続くと言う抜き打ちチェックに、あたしは上にあげていた両手を下ろした。

コンソメスープを完食すると、
「しかし、武人も武人だな」

お茶を飲みながら藤本さんが言った。

「あたしが教えてくださいって言って頼んだようなものなんです」

流しで皿とスプーンを洗いながら、あたしは言い返した。
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