ラグタイム
兄貴は目をそらすようにうつむいた。

「来年の春辺りに『ラグタイム』の2号店オープンを考えているんだ。

その2号店をお前に任せたい」

そう言った藤本さんに、兄貴が驚いたと言うように顔をあげた。

「…いいんですか?」

呟くように聞いた兄貴に、
「ずっと前から考えていたんだ。

どの道、お前はもう俺から離れないといけない。

静絵さんと2人で生きて行くと言うなら、その方がお前のためになるだろう」

藤本さんが言った。

「俺を許してくれるんですか?」

そう聞いた兄貴に、
「ただし、ここを越えるくらいに店を繁盛させろ。

それがお前がやるべきことだ」

藤本さんが答えた。
< 299 / 340 >

この作品をシェア

pagetop