ラグタイム
「そうだったんですか…」

翼が呟くように言った。

「俺のせいで、夕貴がこんなことに…」

兄貴は悔しそうに呟いた。

「そもそもの発端は朝貴ではあるけれど、それらのことを実行に移したのは俺だ。

夕貴は俺の指示に従って、『ラグタイム』で働いていただけだ。

責めるなら夕貴じゃなくて、俺だけにして欲しい」

藤本さんはそう言うと、兄貴たちに頭を下げた。

こんな藤本さんを見たのは初めてで、あたしはどうすればいいのかわからなかった。

兄貴たちもこの状況は初めてなのか、戸惑っている。

「大輔さん、頭をあげてください」

そう言ったのは兄貴だった。

「夕貴を巻き込んでしまったのは俺のせいです。

本当に申し訳ありませんでした」

兄貴は藤本さんに頭を下げた。
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